<p>編集者の私は、予備校時代を過ごした仙台を30年ぶりに訪れ感傷的になっていた。
ハードロックとギターに明け暮れていた浪人時代、レコードを聴きたくて授業をサボって通った国分町のロック喫茶。
それがいま目の前にある。
まさかこの店が残っていたとは…。
タイムスリップしたような錯覚を覚えながら、片想いの“彼女”を思い出しハッとする。
閉じていた心の引き出しが開いた瞬間だった。
これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
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